葬儀産業の環境貢献とは?SDGs時代に求められる持続可能な葬送サービスを解説

  • 更新日:2026/06/11

近年、世界中で環境への配慮が求められており、社会的なSDGsへの関心も高まっています。葬儀においてもその例を外れることはなく、葬儀産業においても環境への貢献を意識したサービスの提供が求められているのです。

この記事では、葬儀産業に求められている持続可能な葬送サービスについて、環境への貢献が求められる背景や実際の取り組み、こうした取り組みがもたらす葬儀産業や企業への影響などについて解説しています。葬儀産業におけるSDGs達成に向けた持続可能なサービスについて、詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

目次

葬儀産業が環境貢献を求められる背景

葬儀産業が環境への貢献を求められている背景には、世界的な環境問題への関心の高まりがあります。

一見葬儀産業と環境問題の間にはあまり関係がないように思えますが、実は葬送サービスの中には環境問題に関連のあるものも含まれているのです。どのような背景で環境への貢献が求められているのか、見ていきましょう。

SDGsや脱炭素社会への関心の高まり

葬儀産業をはじめ、さまざまな産業において環境への貢献が求められつつある理由には、世界的なSDGsや脱炭素社会への関心の高まりがあります。

SDGsとは、2015年の国連サミットで採択された「人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標」のことです。「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称であり、17の大きなゴールと169の細かなターゲットで構成されています。SDGsの目標には、人間のためになること、地球環境のためになること、平和や豊かさに貢献すること、人と人のパートナーシップにかかわることなどが含まれているのが特徴です。

現在、地球上では石油などの化石資源や鉱物資源などの枯渇が懸念されています。また、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出によって地球温暖化が進んでおり、地球環境の悪化を防ぐための手立てが求められているのが現状です。人類社会がこれからも長期にわたって繁栄していくためにも、持続可能な社会のための対策が必要になります。

葬儀業界と環境問題の関係

人の営みの一環である葬儀産業も、環境問題と無縁ではありません。

実は、日本で主流となっている火葬では、1回あたり約300kgの二酸化炭素を排出すると言われています。人間1人が1年間に生活のなかで排出する二酸化炭素の量は約320kgとされており、葬儀1回で人が1年間生活するのに近い量の二酸化炭素が排出されるのです。

それ以外にも施設の運用や葬儀で発生したごみの処理など、さまざまな面で環境問題との関わりがあります。環境問題だけでなく、従業員を含めた地域で暮らすさまざまな方の幸福や満足に関わるSDGsの目標についても、葬儀産業と深いかかわりがあると言えるでしょう。

環境配慮型の葬儀が注目される理由

日本全国における1,243社の葬儀社が加入している全日本葬祭業協同組合連合会は、SDGsの達成への取り組みを宣言しています。これにより、葬儀社が持続可能な社会の実現のために何をするべきなのかを考え、取り組むべき努力目標を設定しているのです。

葬儀社がSDGsに取り組むことで、利用者の方は安心してその葬儀社のサービスを利用できるようになります。葬儀社としても対外的な評価が上がると考えられ、双方にメリットがあるのです。

葬儀産業における主な環境貢献の取り組み

続いて、葬儀産業で行われている環境貢献への取り組みについてご紹介します。

葬儀社が主に取り組んでいるSDGsは、目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」や目標12「つくる責任、つかう責任」などです。また、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」などにも関わりがあります。

省エネルギー設備の導入

葬儀産業で取り入れられている環境への貢献の1つは、省エネルギー設備の導入です。

葬祭ホールや事務所などの、葬儀社が管理する施設の照明をエネルギー効率が良いLED照明に変更するなどの対策があります。LED照明を使えば消費電力を大幅にカットでき、日本の主要な発電手段である火力発電による資源の消費や二酸化炭素の排出を削減できる可能性が高いです。

また、社屋のや葬祭ホールの屋根に太陽光パネルを設置し、建物で利用する電力の一部を太陽光発電によって賄う方法も取られています。

資源の削減・リサイクル活動

葬儀産業では、業務で用いる資源の削減やリサイクル活動も取り入れられています。

たとえば、食料の生産者と連携して葬祭で提供する食品におけるフードロスを削減したり、紙の使用量を減らしてペーパーレス化を進めたりしているのです。また、用意している返礼品のうち、消費期限が切れそうなものをフードバンクに寄付する、再生可能資源をリサイクルしてごみを削減することなどにも取り組んでいます。

環境負荷を抑えた葬祭用品の活用

葬祭をはじめとする業務で、環境負荷を抑えた用品を活用することも大切です。

返礼品や式場料理の食材を地産地消し、食材の輸送にかかるエネルギーを抑えて地域に還元することが求められています。また、食用廃油を用いたリサイクル石鹸を使用する、プラスチックを削減するための紙ストローを使用するなどの対策も行われているのが特徴です。

海や生態系に影響があるマイクロプラスチックを削減することや、環境の保護につながる活動にも力を入れています。

環境に配慮した葬儀サービスの具体例

続いて、環境に配慮した葬儀サービスの例について見ていきましょう。

葬儀社では、利用者の方から分かりやすい形でのサービスでも環境への貢献を心がけています。その一環として「エコ葬儀」と呼ばれる葬儀が実施されているのが特徴です。

エコ葬儀には具体的な定義があるわけではないものの、環境にやさしい用品を用いた葬儀が行われています。

無駄を抑えたシンプルな葬儀プラン

現在は、遺族の方の判断で葬儀の内容やプランを自由に組み替えることができます。葬儀社ごとに最低限のものを用意した基本のセットが容易されており、それを組み替えることで棺や祭壇、骨壺の種類を変更することが可能です。

シンプルなプランにすれば、消費される資材を減らして予算も抑えることができます。また、棺や骨壺の素材などはより無駄のないものを選ぶこともできるでしょう。

間伐材や再生木材、再生紙を使用した段ボール紙、竹、トウモロコシの茎、生分解性素材などを用いた棺や骨壺、再生紙を使用した会葬礼状などを取り入れれば、シンプルで環境に配慮した葬儀が行えます。

オンライン活用による移動負担の軽減

遠方から参列者の方に来てもらう場合、その分移動にエネルギーを消費します。そこで、オンラインの通信で遠方からでも参列できるようにしておけば、その移動にかかるエネルギーを削減することが可能です。

電車や自家用車など、いずれの交通手段を利用してもエネルギーは消費されるため、よりエネルギー消費量の少ないオンライン通信を選択すると良いでしょう。

ペーパーレス化による資源削減

葬儀産業でもペーパーレス化は進められており、再生紙を用いたりそもそも紙を使わないようにしたりといった対策が進められています。

なかには、遺影を印刷せずにデジタル機器に表示して行う葬儀もあり、資源の削減が可能です。

地域資源を活用した葬儀運営

葬儀のなかで地域資源を活用することで、より環境に配慮した葬送サービスが可能になります。

提供する食品に地元の食材を使用し、地産地消を実施することで輸送にかかるエネルギーを削減し、地域経済に貢献できるでしょう。また、飾る花は生花を選択すれば、造花に使われるプラスチックを削減できます。さらに、切り花でなく鉢植えにすれば持ち帰って育てることも可能です。

葬儀産業の環境貢献が地域社会にもたらす価値

葬儀産業が環境への貢献に積極的に取り組んでいるのは、葬儀社を含む地域へのメリットがたくさんあるためです。

環境への貢献を通して葬儀産業が地域から何を求められているのか、詳しく見ていきましょう。

地域コミュニティとの連携強化

葬儀社が環境への貢献を進めるのは、地域コミュニティと社の連携を強めるためです。

葬儀産業は、地域に住む方々と密接に関わっている業界になります。葬儀は地域社会全体の価値観や考え方とも深い関係を持っており、環境への配慮、地域社会への貢献などSDGsの目標は葬儀産業と重なる部分が多いです。

葬儀の場で資源を大量に消費していると思われてしまうと、コミュニティからの印象が悪くなる可能性もあります。

持続可能なまちづくりへの貢献

持続可能な社会の実現のためには、社会全体で取り組みを進めていくことが大切です。

葬儀は、火葬に費やされるエネルギーや消費される資源が想像よりも大きくなりやすい傾向にあります。意識してその資源を削減していくことで、持続可能なまちづくりへの貢献を実現できる可能性が高まるでしょう。

環境貢献と企業価値向上の関係

環境への貢献を対外的に分かる形で行うことで、企業価値の向上を期待できる可能性があります。

SDGsは世界的に関心を集めている目標であり、世間的な知名度も高いです。そのため、SDGsに積極的に取り組むことで対外的に高い評価を得られる可能性があるでしょう。

利用者からの信頼獲得につながる

SDGsに積極的に取り組むことで、葬儀社の利用者からの信頼を獲得できる可能性があります。

SDGsには環境への配慮を含め、幅広いテーマの目標が含まれており、こうした目標についてどれだけ真剣に向き合っているかを重視している方も少なくありません。そのため、利用者の方にとって葬儀を依頼する会社がどれだけ環境問題に取り組んでいるかは重要な指標になる可能性があります。

企業の社会的責任(CSR)を果たせる

環境問題の解消は、国だけでなく企業や個人にも責任がある目標です。また、企業法人には社会的に果たすべきとされている責任が存在します。

葬儀産業の企業として環境問題に取り組むことで、企業としての社会的責任を果たすことにつながるでしょう。

従業員が働きやすい環境づくりにも貢献

企業がSDGsに力を入れていると、従業員にとってもプラスの影響が見込めます。

SDGsに力を入れている企業であるということは、それだけ社会への貢献性が高い働き甲斐のある企業であるということです。また、SDGsには従業員の働きやすさを高めることにつながる目標が含まれています。

葬儀産業に従事するうえで役立つ資格の取得をサポートするなど、従業員の自己実現やキャリアアップに関わる制度を導入している葬儀社もあるでしょう。

これからの葬儀産業に求められる環境への取り組み

これまで行われてきた環境への取り組みに加え、これからの葬儀産業ではより一歩前に進んだ取り組みが求められています。

葬儀は故人の遺族の方にとって大切な儀礼であり、多くの方にとって欠かすことのできない存在です。その葬儀と環境への配慮を両立させるために求められている対策について、詳しく見ていきましょう。

脱炭素社会に対応した事業運営

これからの葬儀産業に求められているのは、脱炭素社会に向けたサービスの提供です。

たとえば、ご遺体を安置している間はドライアイスが使われることが多いものの、ドライアイスはその製造過程で大量のエネルギーを消費します。超低温の環境下でドライアイスを製造し、保存するためには大量の電気が消費され、その過程で二酸化炭素が排出されるのです。さらに、ドライアイスは使用すればなくなってしまいます。

そこで、葬儀社によっては再度使用可能な保冷剤を用いたサービスを提供しており、家庭用の冷蔵庫にある冷凍庫と同じ性能の冷凍庫で保冷剤を凍らせることが可能です。このように、製造の過程や使用の際に二酸化炭素を排出しにくく、持続可能であるサービスの提供を試みている葬儀社が増えています。

環境配慮と葬送文化の両立

環境への配慮は重要ですが、それで遺族の方の「故人を弔いたい」という感情をないがしろにしては本末転倒です。

葬儀は共同体の文化と密接に関わっており、それぞれの共同体や家庭によって「このように送りたい」という形は異なります。いくら環境のためとは言え、画一的な葬儀の形を押し付けて遺族の方の希望をないがしろにするべきではないでしょう。

そのために、遺族の方の感情や希望に寄り添いながら、地域の葬送文化を守るため、持続可能なサービスを提供していくための提案をしていくことが大切です。棺の素材を間伐材や再生材に置き換える、サービスの提供ごとに植林を行うなどの取り組みが挙げられるでしょう。

利用者参加型の環境貢献活動の拡大

近年では、葬儀社、遺族の方、参列者の方、地域の方による「参加型」の葬儀に取り組む葬儀社も増えています。

葬儀の返礼品として地域の方が生産している物品を選択して地域に貢献し、葬儀にかかった費用の一部を自然環境や子どもを守る活動などの社会貢献活動に充当するといった形で、より多くの方々で持続可能な葬送文化を作り上げていくシステムです。これにより、葬儀社だけでなく利用者の方や地域の方も葬儀産業における環境問題への取り組みに貢献することになり、より活動の広まりが見込めます。

まとめ

世界的な環境問題への関心の高まりにより、葬儀産業においてもSDGsへの取り組みなどの形で環境問題の解消に対して貢献することが求められつつあります。葬儀社では、遺族の方に寄り添いながら環境にやさしい棺や骨壺を提案する、設備そのものを環境にやさしいものに変えるといった方法で、この取り組みを進めてきました。

「公益社」では、首都圏や近畿圏を中心に遺族の方に寄り添った形での葬儀をご提案しています。サスティナブルな葬儀にご関心がある方は、ぜひ公益社までご連絡ください。

<このページを監修した人>
エコモ博士

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!

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