SDGs配慮型の冷凍冷蔵倉庫とは?環境貢献と光熱費削減を両立する最新対策

  • 更新日:2026/05/11

庫内の温度を10℃以下に設定し、冷蔵の品物や冷凍の品物を保管する冷凍冷蔵倉庫にも、SDGsに配慮したタイプが登場しています。こうした倉庫の登場に大きな影響を与えているのは、世界規模の気候変動やそれに対する国際的な配慮です。

そもそも、冷凍冷蔵倉庫は多くのコストを消費する設備でもあります。SDGsに配慮した冷凍冷蔵倉庫を導入することで、企業が支払うコスト削減にもつながります。

この記事では、SDGs配慮型の冷凍冷蔵倉庫とはどのような設備なのか、環境への影響やコストの削減についてご紹介しています。SDGs配慮型の冷凍冷蔵倉庫の導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

冷凍冷蔵倉庫に求められるSDGs対応とは

SDGsとは、国連で採択された「人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標」のことです。持続可能な循環型社会の開発を目指して、各国で取り組むべき目標を定めています。

環境問題への対策や平等の実現など、人類共通の社会問題解消に向けた17の大きな目標と、それを達成するための169のターゲット、231の指標から成り立っているのが特徴です。冷凍冷蔵倉庫の運用においても、このSDGsの達成に向けて取り組むべき課題があると言われています。

なぜ今、物流業界でSDGsが重要視されているのか

2015年の国連総会でSDGsが採択されて以降、物流業界では17の目標のうちの7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が問題となっています。

物流業界は、製品が生産者から消費者に届くまでのルートを担う業界です。そのため、全国各地に各企業の倉庫が配置されており、運送用のトラックなどによって荷物が運ばれています。この物流の過程で、さまざまなエネルギーが大量に消費されているのです。

トラックを運用するためにはガソリンが必要になり、燃料費の高騰からコストの増加にも影響を与えています。また、走行によって排出されるCO2などのガスも環境問題の原因です。

冷凍冷蔵倉庫の運用においても、製品を冷やすためのフロンガスの利用や、電力の消費によるコスト増・環境への影響が問題視されています。こうした課題を解決しSDGsに定められた目標を達成するための取り組みが、物流業界でも注目されているのです。

冷凍冷蔵倉庫が抱える環境負荷の課題

冷凍冷蔵倉庫は、物流業界においてなくてはならない設備の1つです。食品などの冷蔵・冷凍が必要な製品を一時的に保管しておくためには、適切な温度管理が可能な設備が欠かせません。

一方で、古い冷凍冷蔵倉庫は冷媒が現在の基準に合致していないケースがあり、環境への影響が懸念されています。また、倉庫を稼働させて製品を冷やすためには、大量の電気が必要です。

2023年度における国内での発電割合では、火力発電がその7割程度を占めていました。火力発電では石油などの化石燃料を燃やして電気を生産しており、資源の枯渇や温室効果ガスの排出が問題視されています。冷凍冷蔵倉庫で電気を使えば使うほど、火力による発電が行われる可能性が高まり、環境に影響が出ることが懸念されているのです。

したがって、冷凍冷蔵倉庫を所有している物流関連企業には、その運用におけるSDGsへの配慮が求められています。

冷凍冷蔵倉庫の光熱費が高くなる理由

一般的な冷凍冷蔵倉庫では、月額で1坪あたり4,000円〜8,000円、1平米あたり1,200円〜2,400円の電気代がかかるとされています。倉庫の温度設定や、荷物を出し入れする頻度によって金額は変動し、冷凍用の倉庫ほど高いです。また、条件次第では電気代が高騰することもあります。

企業としては、倉庫の運用にかかる光熱費が高くなるのは避けたい事態です。対策のためには、まず冷凍冷蔵倉庫の光熱費が高くなる理由を把握しておく必要があるでしょう。

冷却設備の電力消費が大きい

冷凍冷蔵倉庫の光熱費が高くなりやすいのは、冷却設備の電力消費が大きいためです。

常温の倉庫の場合、電気を使用するのは照明がメインになります。場合によっては空調設備も使用しますが、人が出入りしない時間帯は切られているのが一般的です。

しかし、冷凍冷蔵倉庫には室内を10℃以下に保つための冷却設備が設置されており、その稼働のためには大量の電力が必要になります。基本的に消費電力が多ければ多いほど光熱費は高くなっていくため、冷凍冷蔵倉庫はコストがかかるのです。

温度管理による常時稼働

冷凍冷蔵倉庫の光熱費が高くなりやすいのは、温度管理のために24時間稼働しているためです。

冷凍の荷物や冷蔵の荷物は品質を一定に保つための保管温度が決められており、倉庫での保存時もその温度を維持し続ける必要があります。そのため、冷凍冷蔵倉庫は24時間365日冷却設備を稼働し続けなければなりません。

夏季だけでなく冬季も冷却設備は必要なため、常時電力を消費し光熱費が発生するのです。

断熱・気密性能の影響

冷凍冷蔵倉庫の光熱費には、建物の断熱性能や気密性能も関係しています。

古い建物は老朽化によって冷却効率が低下している場合が多いです。壁に入っている断熱材が湿気を吸ってしまっており役目を果たせなくなっていたり、パッキンの劣化によって気密性が下がっていたりします。

せっかく庫内の空気を冷やしても、断熱性能が落ちていると外気の温度の影響を受けてしまうでしょう。また、気密性が低いと空気が出入りして庫内の温度が上がる原因になります。

こうした要因により、冷却設備が庫内の温度を一定に保つために必要な電力の量が増え、光熱費が高くなるのです。

環境貢献とコスト削減を両立する主な対策

電気を大量に消費する冷凍冷蔵倉庫は、その分環境への負荷も大きいと言えます。企業側は、倉庫の維持や運用に必要なコストを削減するとともに環境への負荷を軽減することを求められるでしょう。

冷凍冷蔵倉庫による環境への負荷を軽減し、コストを削減するための対策にはいくつかの方法があります。どのような方法が考えられるのか、詳しく見ていきましょう。

自然冷媒への切り替え

環境への配慮の一環として、冷却設備に用いるシステムを自然冷媒に切り替える方法があります。

従来の冷凍冷蔵倉庫では、冷媒としてフロンガスが用いられていました。これは、フロンガスが化学的に安定しており、人体への毒性が低いためです。しかし、フロンガスは地球のオゾン層を破壊することが分かり、現在は環境省、経済産業省、国土交通省による「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」で規制されています。

そこで、より環境への影響が少ない物質を用いた方法として、「アンモニアCO2」や「CO2直膨」などの自然冷媒を取り入れる倉庫が増えています。とくに、冷凍冷蔵倉庫を新設する場合は、自然冷媒が選択される傾向にあります。

太陽光発電・再生可能エネルギーの活用

コスト削減対策や環境への配慮として、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの活用も挙げられます。

冷凍冷蔵倉庫の屋根に太陽光発電用のパネルを設置することで、建物で利用する電気の一部を自家発電することが可能です。センターによっては、消費電力全体の約20%、昼間の消費電力に絞ると約40%の電気を賄えている例もあります。太陽光発電は導入のための初期投資こそ必要になるものの、電力会社から購入する電気の量が減ることでコストカットにもなるでしょう。

再生可能エネルギーを見える部分の設備に取り入れることで、SDGsに配慮した企業としてアピールすることもできます。

蓄電池導入による電力最適化

産業用の蓄電池の導入も、コストカットや環境への貢献につながる可能性があります。

蓄電池は、太陽光発電などで生産した電力のうち、使用しなかった余剰電力を貯めておくことができる設備です。蓄電池がないと電気は貯められないため、発電量が多い設備を保有しているのであれば蓄電池を用意すると無駄なく電気を使用できるでしょう。

蓄電池に溜めた電気は、太陽光発電は上手く行えていない日のピークの時間帯に消費するなどの形で利用できます。消費電力を最適化すれば、光熱費のコストを削減することが可能です。

高効率冷凍機への更新

設備を最新のものに切り替え、高効率冷凍機を導入することで施設の省エネ性能を高めてコスト削減が期待されます。

高効率冷凍機は、低凝縮圧力運転による省電力運用や高い有効伝熱面積を期待できる設備です。これにより、消費電力を削減しつつ冷凍能力は向上させ、冷凍の効率を上げられるでしょう。

冷凍効率が高ければ少ない電力で製品を保管でき、電力会社から購入する電気の量が減るためコストを削減できるでしょう。

現場改善でできる省エネ対策

冷凍冷蔵倉庫をSDGsに配慮した形にするためには設備を刷新するのが有効ですが、いきなりすべての設備を入れ替えるのは難しいでしょう。それでも、現場の環境を改善することで省エネ性能を高めることは可能です。

比較的簡単に導入できる現場での省エネ対策について、詳しく見ていきましょう。

断熱・遮熱対策の強化

現場の改善によって省エネ対策を行うためには、断熱・遮熱対策を強化するのがおすすめです。

庫内の温度は空調や冷凍機によって一定に保たれていますが、断熱性能や遮熱性能が低いと外気の影響を受けやすくなります。外気の影響を受けると、庫内の温度を一定に保つために大量の電力が必要です。

断熱性能や遮熱性能を高めるためには、太陽光を遮って日射熱を取り込まないようにする必要があります。太陽光には熱エネルギーがあるため、これが屋内に取り込まれてしまうと、屋内の温度が上昇する原因になるのです。

日射を遮るためには、遮熱シートや遮熱塗料を用いた対策が求められます。日の当たる部分に遮熱シートや塗料を施すことで、太陽光の熱エネルギーが屋内に伝わらないようにできるでしょう。とくに、屋根の上は日光が一番当たりやすいため念入りに塗料を塗っておくのがおすすめです。

また、定期的な散水によって屋根の温度を下げる対策もあります。

シートシャッターや間仕切りの活用

現場でできる省エネ対策としては、シートシャッターや間仕切りの活用も挙げられます。

倉庫の扉を開閉したときに流れ込む空気も、庫内の温度を上げる原因の1つです。また、どんなに扉の密閉性を高めていても、ちょっとした隙間から外気が入り込む可能性があります。

そこで、倉庫の入り口付近に耐寒性ビニールなどでできたシートシャッターや間仕切りを設置するのがおすすめです。間仕切りで空間を区切ることにより、庫内の空気が外気と混ざるまでにワンクッションが挟まり温度が上がりにくくなります。結果的に温度調節に必要なエネルギーの量が減り、省エネ対策になるでしょう。

ゾーニングによる温度管理の最適化

建物内におけるゾーニングによる温度管理の最適化も、倉庫の省エネ化に有効です。

保管している製品の適正温度別に場所を分け、それぞれに適切な形で温度管理を行うことで、必要以上に冷やしすぎる必要がなくなり光熱費を抑えられます。また、事務室などの設備においても人が常駐している部屋とそうでない部屋で温度管理を分けておくと良いでしょう。

作業動線の見直しによる効率化

倉庫の省エネ化を進めるためには、作業動線を見直すことも大切です。

庫内を整理整頓し、人間が作業しやすい環境を整えることで、庫内外を出入りして作業を行う時間を短くすることができます。これにより、扉を開閉する頻度が減って空気が混ざりにくくなり、庫内の温度を保ちやすくなるでしょう。

また、庫内の荷物が整頓されて空気の流れが良くなることで、冷却効率が上がります。なお、冷蔵倉庫はある程度荷物と荷物の間が空いている方が効率良く冷やせますが、冷凍倉庫はすでに入っている荷物が保冷剤の役割を果たすため隙間なく詰めた方が効率が良いです。

SDGsへの対応による企業メリット

冷凍冷蔵倉庫をSDGs対応のものにすることは、企業にとってもメリットが大きいです。

環境配慮型の冷凍冷蔵倉庫を導入するメリットは、コストカットや企業評価の向上にあります。それぞれのメリットについて見ていきましょう。

光熱費削減によるコストメリット

物流業界でSDGsに対応し、省エネ性能の高い冷凍冷蔵倉庫を取り入れるメリットは光熱費の削減です。

省エネ性能が高い倉庫は少ないエネルギーで十分な機能を発揮するため、電力会社から購入する電気の量が減り支払う光熱費をカットできます。さらに、省エネ性能を維持するためにこまめなメンテナンスを行うことで、設備の故障や劣化を防ぎ長期間の運用が可能になるでしょう。

事業の継続にかかるコストを削減できれば、その分利益を上げることができます。

環境配慮による企業価値の向上

SDGsに配慮した冷凍冷蔵倉庫を導入すると、企業価値の向上にもつながります。

省エネ性能を高めて消費されるエネルギーを削減すると、その分火力発電によって発電される電気を使わずに済みます。つまり、消費エネルギーを削減することで排出される二酸化炭素の量も減らすことができるのです。そのため、環境に配慮した企業として高い評価を受けられます。

とくに、屋根などに太陽光発電を設置すると、視覚的に取り組みが分かりやすく社会的な責任を果たしている企業と見なされやすいでしょう。

人材確保・働きやすさの改善

SDGsへの配慮をアピールして企業への評価が高まると、人材を確保しやすくなります。多くの人材は、評判の良い企業を選んでおり、SDGsへの取り組みもその一環です。

SDGsには8「働きがいも、経済成長も」という目標もあるため、働きやすさの改善もSDGsへの対応に含まれます。できることから1つずつ取り入れていくことで企業の評判を向上させ、安定した運営につながるのです。

導入を成功させるためのポイント

SDGs配慮型の冷凍冷蔵倉庫を導入する際は、いくつかのポイントに気をつけると成功しやすくなります。

やみくもに導入しようとしても上手くいかないけーすがあるため、現在の事業にどのような形で取り入れると良いかしっかり吟味すると良いでしょう。

現状のエネルギー使用量の把握

SDGsへの対応を成功させるには、倉庫で現状どの程度のエネルギーを使用しているのか把握することが大切です。

エネルギー使用量の現状を確認することで、どこの部分を改善するべきなのかを確認すると、計画的に導入を進められます。逆に、何も見直しをせずにそれらしい対策だけを取り入れようとすると、本来必要のない部分にまで手を加えることになり無駄なコストが発生する可能性が高いです。

エネルギー使用量を把握するツールとしてエネルギー監視システムを導入し、どこでどれだけのエネルギーを消費しているのか、無駄は発生していないかをチェックすると良いでしょう。

優先順位をつけた段階的な導入

SDGsへの対応を進めていくときは、優先順位をつけて段階的に導入していくのがおすすめです。

省エネ対策にはさまざまな手段がありますが、そのすべてを一度に取り入れようとするとコストがかかりすぎます。そのため、今の段階でどのような改善が必要なのか、どこからなら手が付けられるのかを検討し、導入したい手段に優先順位をつけると良いでしょう。

補助金・制度の活用

冷凍冷蔵倉庫をSDGsに対応させる場合、補助金などの制度が活用できる場合があります。

たとえば、冷凍設備の脱フロン化を進めるのであれば、環境省の「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」により補助が受けられます。また、省エネ性能が一定以上と評価された設備や設計を伴うオーダーメイド型の設備を導入する場合は、経済産業省による「先進的省エネルギー投資促進支援事業」で補助金の活用が可能です。いずれの補助金も、申請後の審査が通った場合にのみ活用できるので、注意しましょう。

こうした補助金を利用できれば、省エネ化を進めてSDGsに対応するのにかかる初期のコスト削減が期待できます。

まとめ

冷凍冷蔵倉庫は、倉庫の中でもエネルギーの消費が大きい施設です。そのため設備の見直しを進めている企業が多く、SDGsに対応させることで消費エネルギーを削減できる可能性があります。消費エネルギーを削減できれば、施設の運用にかかるコストも下げることができるでしょう。

COLD X NETWORKでは、次世代型物流施設の開発を行っています。幅広い温度帯に対応したマルチテナント型物流施設における低炭素化・脱炭素化へ向けた環境配慮への取り組みを先導し、省エネ化につながる設備導入を推進しているサービスです。SDGs配慮型の冷凍冷蔵倉庫に関心がある方は、ぜひ利用してみてください。

<このページを監修した人>
エコモ博士

RAUL株式会社 電気プラン乗換コム運営事務局
エコモ博士のエコらいふナビ

エコモは各地を飛び回って、電力・エネルギーや地球環境についてお勉強中なんだモ!色んな人に電気/ガスのことをお伝えし、エネルギーをもっと身近に感じてもらいたモ!

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